もしも脳内メーカー ― もしのな ― 第1回
もしも脳内メーカーが昔からあったら?
原始時代からガラケー時代まで、
勝手に想像してみました
公式が本気で考えた、完全なフィクションです。
原始時代から読む脳内メーカーが生まれたのは、2007年6月16日。
では――。
もし、もっともっと昔から脳内メーカーがあったら?
平安貴族が脳内メーカーをやったら。
戦国武将が敵将の脳内を調べたら。
江戸の町で脳内メーカーが流行したら。
80年代のアイドル雑誌に、脳内メーカーが載っていたら。
そんな「絶対に起きていない歴史」を、本気で想像してみました。
もちろん、ここから先はほとんど妄想です。
でも、それぞれの時代の本当の文化や暮らしを少しだけ覗きながら考えてみると、意外と「ありそう」に思えてくるかもしれません。
それでは、脳内メーカーを持って時間旅行へ出発です。
このページの見方
このページには、
「本当の時代背景」
と、
「もし、その時代に脳内メーカーがあったら?」という完全なフィクション
の両方が登場します。
フィクション部分は当然ながら史実ではありません。
歴史の勉強として真に受けず、
「もし本当にあったら、こんな感じだったかもなあ(笑)」
くらいの気持ちでお楽しみください。
原始時代
脳内メーカー、開始1分で最大の危機
本当の時代背景
ひとことで「原始時代」といっても、とてつもなく長い期間があります。
ここではものすごくざっくり、
「今のように文字を使って気軽に情報を残したり伝えたりするより、ずっと前の時代」
を想像することにします。
さて。
脳内メーカー最大の特徴といえば、
頭の中を漢字や言葉で埋め尽くすこと。
ここで重大な問題が発生します。
もしのな ここからはフィクション
まだ漢字がありません。
いきなり詰みました。
2007年から時間旅行を始めて、最初の時代でもう脳内メーカー終了の危機です。
しかし、人類は諦めません。
文字がないなら――
絵でやればいい。
今日の獲物。
火。
寝床。
家族。
危険な動物。
そして、また獲物。
頭の中にぎっしり絵を並べれば、立派な「脳内メーカー」です。
ただし、結果を友達に見せても、
「この絵、肉?」
「いや、石」
「じゃあこの丸は?」
「肉」
「肉多くない?」
という、別の意味で解読が必要になりそうです。
この時代の脳内メーカー
文字がないので、脳内メーカーが自ら文字を捨てる。
第1回にしてアイデンティティ崩壊です。
平安時代
脳内メーカー、急に雅になる
本当の時代背景
平安時代の貴族たちにとって、和歌は大切なコミュニケーションのひとつでした。
折に触れて和歌を詠み、贈り合い、その内容だけでなく、文字の書き方や紙の見せ方にも工夫が凝らされました。
現代のSNS投稿とはもちろん全然違いますが、
「自分の気持ちを短い言葉にして誰かへ届ける」
という点だけ見ると、ちょっと親近感があります。
もしのな ここからはフィクション
そんな平安時代に脳内メーカーがあったら。
たとえば、ある貴族の脳内――。
結果を見た友人。
「まあ……ずいぶん『恋』がお多くていらっしゃいますこと」
本人。
「そこは見なかったことに」
当然、脳内メーカーの画像をそのままSNSへ投稿することはできません。
そこで流行するのが、
脳内結果を和歌にして送る
という、ものすごく遠回りな共有方法。
脳内に、
「恋・月・待・文」
が多かったら、それっぽい和歌にする。
相手はその歌を読みながら、
「なるほど、この人の脳内はだいたい恋なんだな」
と察します。
もはや脳内メーカーを見る必要がありません。
さらに結果を紙へ美しく書き写し、香りまで付けたら、
世界一優雅な脳内メーカー結果
が完成するかもしれません。
この時代の脳内メーカー
結果画像より、結果をどう美しく伝えるかの方が大事になる。
脳内メーカーなのに、風流です。
戦国時代
軍議に脳内メーカーを持ち込むな
本当の時代背景
各地の武将が争い、同盟を結び、ときには裏切り、相手の動きを読みながら生き抜いた戦国の世。
もし相手が何を考えているのか、本当に分かる道具があったなら――。
ものすごく役に立ったはずです。
問題は、
脳内メーカーには、そんな能力はまったくない
ということです。
もしのな ここからはフィクション
ある武将の脳内。
家臣。
「殿」
「なんじゃ」
「『天下』『城』『策』は分かりますが……」
「うむ」
「『寝』がございます」
「そこは見るな」
さらに敵将の名前も入力。
家臣A。
「敵将の脳内に『飯』が二つございます!」
家臣B。
「では昼時を狙えば……!」
軍師。
「その情報を作戦に使うな」
戦国時代の脳内メーカー活用法
敵将の心理分析。
味方武将の忠誠心チェック。
同盟相手の本音確認。
跡継ぎ候補の脳内比較。
……全部、やったらダメです。
脳内メーカーの結果は、その人物の本当の考えを示しているわけではありません。
戦国時代にあったとしても、
宴会の余興くらいにしておくのが安全でしょう。
この時代の脳内メーカー
戦略情報としての信頼度:0%。
でも軍議の盛り上がり度は、かなり高そうです。
江戸時代
「将軍様の脳内が判明!」瓦版が爆売れ
本当の時代背景
江戸時代には、事件や話題などを伝える印刷物として、いわゆる「かわら版」がありました。
今のニュースサイトやSNSとはまったく違いますが、
「世間で起きた面白いことを人々へ伝える」
という欲求は、昔からあったようです。
だったら、脳内メーカーだって記事になるはず。
もしのな ここからはフィクション
翌朝。
江戸の町に声が響きます。
「号外だよー!」
「将軍様の御脳内、ついに判明ー!」
人々が殺到。
そして翌週には、
江戸脳内番付
まで登場。
今週もっとも『金』が多かった人物
もっとも『食』に支配された人物
なぜか全部『寝』だった人物
人気役者。
力士。
商人。
町で噂の人。
有名人の脳内が次々と紹介され、
「今週の脳内番付見た?」
が町人たちの会話になる。
そのうち、
自分の脳内を刷った瓦版を自費出版する人
まで現れるかもしれません。
現代でいうところのSNS投稿です。
ものすごくコストが高いSNS投稿です。
この時代の脳内メーカー
拡散ボタンの代わりに、人が走って売る。
バズるのも大変です。
明治時代
文明開化と一緒に、よく分からない機械がやってきた
本当の時代背景
幕末から明治にかけて、日本では近代的な新聞が登場し、情報を広く伝える仕組みも大きく変わっていきました。
新しい技術。
新しい文化。
新しい食べ物。
新しい制度。
いろいろなものが「新しい!」と感じられた時代です。
そんなところへ脳内メーカーを放り込んでみます。
もしのな ここからはフィクション
新聞広告。
西洋渡来 最新式
脳内製造器
御名前ヲ入ルレバ 貴殿ノ御脳内 タチマチ判明ス
いかにも文明開化っぽい。
しかし、西洋から来たわけではありません。
仕組みもよく分かりません。
なのに、
「最新式」と書いてあるだけでちょっと凄そう。
若者。
「なんと! 私の脳内に『洋食』が!」
友人。
「昨日から牛鍋の話しかしていないではないか」
やがて新聞には、
「名士の脳内拝見」
という連載まで始まります。
有名人へ取材へ行き、
経歴や思想を聞いた最後に、
「ところで、脳内メーカーをお願いできますでしょうか」
すべての取材が台無しです。
この時代の脳内メーカー
何でも「最新技術」として紹介すれば、それっぽく見える。
昭和・テレビの時代
脳内メーカー、お茶の間へ
本当の時代背景
時代が進み、テレビが多くの家庭で楽しまれるようになると、
ひとつの番組を家族みんなで見て、翌日に学校や職場でその話をする――
そんな楽しみ方も大きな存在になりました。
脳内メーカーもテレビと出会ったら、きっと相性は悪くありません。
実際、2007年にもたくさんのテレビ番組で遊んでもらいました。
では、もっと昔なら?
もしのな ここからはフィクション
司会者。
「それでは続きまして、本日のゲストの脳内を見てみましょう!」
ドーン!
スタジオ爆笑。
テレビの前のお茶の間。
母。
「お父さん、『寝』多いわね」
父。
「テレビを見るな」
子ども。
「テレビの問題じゃないよ」
翌日の学校では、
「昨日の脳内メーカー見た?」
「見た見た!」
が飛び交います。
視聴者参加コーナーでは、
ハガキで名前を送ると、抽選で脳内メーカーをやってもらえる。
結果を見るまで数週間。
現代の脳内メーカーでは考えられない待ち時間です。
この時代の脳内メーカー
ボタンを押して1秒で結果が出ることが、どれだけありがたいか分かる。
1980年代
アイドル雑誌が絶対ほっとかない
本当の時代背景
テレビ、雑誌、音楽、アイドル。
80年代の華やかな大衆文化と、脳内メーカー。
これはもう、相性が良さそうです。
もしのな ここからはフィクション
書店に並ぶ雑誌。
表紙には大きく、
人気アイドル50人
秘密の脳内ぜんぶ見せます♥
これは買ってしまいます。
誌面を開けば、
インタビュー。
Q. 結果を見てどうですか?
「え~!『恋』こんなに多くないですよ~!(笑)」
その発言の横に、
『恋』がめちゃくちゃ多い脳内画像。
さらに付録は、
人気アイドル脳内カード
全20種類。
雑誌によって入っているカードが違う。
友達同士で交換。
レアカードは「全部同じ文字」。
脳内メーカーが完全に収集コンテンツになりました。
そしてテレビの歌番組でも、
「新曲の前に○○ちゃんの脳内を見てみましょう!」
歌わせてあげてください。
この時代の脳内メーカー
アイドル本人より、脳内結果がでかく載る。
1990年代
ついに脳内メーカーがシールになる
本当の時代背景
1995年には「プリント倶楽部」が登場。
友達と撮った写真をシールにして交換したり、集めたりする文化が大きく広がりました。
だったら脳内メーカーも、当然こうなります。
もしのな ここからはフィクション
ゲームセンターの片隅に現れた新型筐体。
脳内プリントシール機
- 名前を入力
- 写真を撮る
- 脳内メーカー結果が出る
- 顔写真+脳内画像が合体
- シールになって出てくる
友達。
「交換しよ!」
「いいよ!」
「でもこの『金』だらけのやつはいらない」
「なんで!」
そのうち、
脳内シール帳
まで誕生。
友達。
先輩。
好きな人。
先生。
みんなの脳内を集めて貼る。
これはかなり楽しそうです。
問題は、
知らないうちに自分の脳内シールがクラス中に流通している可能性があること。
この時代の脳内メーカー
SNSがなくても、シールなら拡散できる。
ただし物理です。
2000年代前半
脳内メーカー、ついに携帯電話の中へ
本当の時代背景
NTTドコモの「iモード」は1999年にスタート。
2003年には4,000万契約を突破するほど広がり、携帯電話からニュース、天気、ゲーム、占いなど、さまざまなコンテンツへアクセスする時代になりました。
パソコンだけでなく、
携帯電話の画面でネットを楽しむ
ことが当たり前になっていきます。
いよいよ本物の脳内メーカー誕生が近づいてきました。
もしのな ここからはフィクション
携帯サイト版・脳内メーカー。
名前入力。
決定。
通信中……
通信中……
まだ通信中……
表示!
そして即、
待受画面に設定
友達に見せるときは、
「見てこれ!」
と携帯電話そのものを渡す。
さらに、
赤外線通信で脳内交換
携帯電話同士を近づけ、
ピッ。
「送れた?」
「まだ」
「もう一回」
結果を共有するだけで一仕事です。
プロフィールサイトには、
「私の脳内はこちら☆」
と結果画像を掲載。
デコメにも脳内。
待受にも脳内。
ストラップにも脳内。
あと一歩です。
この時代の脳内メーカー
技術的には、かなりそれっぽくなってきた。
ここからは、本当にあった話。
そして2007年6月16日
「もしも」ではなくなった日
原始時代。
平安。
戦国。
江戸。
明治。
昭和。
80年代。
90年代。
ガラケー時代。
ここまで、全部「もしも」の話でした。
そして――
2007年6月16日。
とうとう、本当に脳内メーカーが生まれました。
名前を入力する。
ボタンを押す。
頭の中が漢字で埋まる。
そして、その結果を誰かに見せる。
それまでの時代には存在しなかった遊びが、本当にインターネット上に登場しました。
しかもその直後。
ブログやSNSで話題になり、テレビや雑誌にも次々と取り上げられ、大きなブームになっていきます。
では、本物の脳内メーカーが誕生した2007年は、一体どんな時代だったのでしょう?
脳内メーカーが生まれた2007年の空気を、当時のデータと制作者本人の記憶から振り返ります。
今の脳内メーカー
そして2026年
今度は、自分で脳内を作る時代へ
元祖・脳内メーカーは、
名前を入力して、
「何が出るか?」
を楽しむものです。
そして2026年。
もうひとつの遊び方を開発しています。まだ一般公開していません。
脳内メーカーメーカー
今度は、
頭の中に入れる文字を、
自分で自由に決められる遊び方を目指しています。
「食・寝・猫・旅・仕事」
「夢・愛・推・ゲーム・肉」
自分自身を表現してもいい。
友達の脳内を想像してもいい。
歴史人物や物語の登場人物の脳内を考えてもいい。
元祖・脳内メーカーが、
出てきた脳内を楽しむもの
なら、
脳内メーカーメーカーは、
自分で脳内を作って楽しむもの。
昔の人が見たら、
「未来すごい!」
となるでしょう。
……いや、たぶん最初に、
「なぜ頭の中へ文字を詰めているのか」
と聞かれると思います。
ここからは、未来の「もしのな」
では、2050年の
脳内メーカーは?
最後に、未来も想像してみましょう。
2050年。
脳内メーカーはどうなっているのでしょうか。
空中に立体表示?
メガネをかけたら相手の頭上に脳内が浮かぶ?
声をかけるだけで脳内画像完成?
まさか、本当の脳波を読み取って……。
いや。
そこまでいくと、
ちょっと怖いです。
脳内メーカーは、
名前や言葉を入れて、
出てきた画像を見て、
「なんでだよ(笑)」
と笑えるくらいが、ちょうどいいのかもしれません。
原始時代でも。
平安時代でも。
戦国時代でも。
2026年でも。
きっと人間は、
他人が何を考えているのか、ちょっと気になる。
そして、
しょうもないことで笑うのが好き。
それさえ変わらなければ、
脳内メーカーは、まだまだ未来まで遊んでもらえるのかもしれません。
あなたの脳内も見てみる?
2007年から続く、元祖・脳内メーカー。
実は今でも、基本的な遊び方はほとんど変わっていません。
名前を入れて、
結果を見る。
それだけです。
参考にした主な資料
- 国立国会図書館「本の万華鏡 へのへのもじえ ―文字で絵を描く―」
- 国立国会図書館「明治初期に創刊された新聞に関わった人々」
- 国立国会図書館所蔵資料『かわら版物語―江戸時代マス・コミの歴史』
- セガ「セガの歴史 1960-2020」
- NTTドコモ「iモード」関連資料(4,000万契約突破の発表)
- 脳内メーカー公式「脳内メーカーの歴史」
※「脳内メーカーが昔から存在していた」という設定、および各時代における脳内メーカーの利用方法・会話・出来事は、すべてこのページのために制作したフィクションです。